札幌市 石狩市 合気道道場

北海道春風館

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草枕日記 第十話

 26日、1時間歩いて丘の上の幹線道路まで行き(この辺のオアシスは谷間にあるので、道は山の上にある)ヒッチをすること7時間、その間に3台の車が止まってくれたが行き先が違う。カナダ人の男は荷物を背負ってとことこ南へ向かって歩き出した、彼はヒッチ出来なかったら野宿すると言う。午後4時半、下山して町へ戻る。


 町のカフェで知り合ったスイス人のアパートの一室(とは言ってもコンクリートの床の上に直に寝るのだ)に2DNで泊めてもらう。しかし、そのスイス人が次の町まで行くトラックの運転手を紹介してくれ早朝5時に出発。寝不足で居眠り運転をするのには、ちょっと参ったがトラックはすばらしい砂漠の景色の中をひた走る。

 砂漠は大きく三つのタイプに分けられる。一つは赤い岩山の多い、そして大きな岩が表面に荒肌を見せる「岩砂漠」、二つ目は女の柔肌のような、なめらかな曲線を見せてくれる「砂砂漠」、三つ目は下は砂だが表面が真っ黒で、どこまでも平らな「黒砂漠」だ。













左の写真は「砂砂漠」を写したもの。

 それらの砂漠の中を通りぬけ、午前10時に270Km離れた「El Golea」に到着。パームグローブがたくさん生い茂る静かな町だ。次の町までのバスは3日後でそれも60DNとばか高いので、すぐに町はずれでヒッチをする。しかし走っている車の数自体が極めて少ないし、「100DNなら乗せてあげるよ」などとふっかっけてくる運転手もいる。
 結局その場所で今夜は野宿することにする。(サハラ砂漠最初の野宿)モロッコで買ったジラバを二枚重ね着し、スイスで買った極寒用のシュラフにもぐって寝たので、おもったほど寒くはなかったが、砂漠の気温は日中は40度以上も上がるが、夜は0度近くまで下がる。
 翌日も朝からヒッチをするが、ほとんど車が通らない。仕方なく木曜日のバスで行くことにする。しかし隣町まで三日半かかるそうなので、その間の食料を調達しておかねばならない。その町にいた外人部隊は私日本人1名、カナダ人1名、フランス人カップル1組、カナダ人カップル1組の計6名。皆でだべっていると、土地の人間が来て我々を結婚披露宴に招待してくれる。ひさしぶりの御馳走だ(イスラム教徒なので酒類は一切ないが)歌と踊りも交えて楽しい一時を過ごさせてもらう。その上寝床まで提供してもらう。この宴は6日間続くのだそうだ。(昔の東北の田舎にも同じ風習があったのです)

            《ヒッチハイク》
      サハラの山の上の一人の日本人
      ジラバを着、頭にハチマキ、変なやつ
      時々トカゲと戯れて遊んでいる変なやつ
      親指を立てたこぶしを車に向かって見せている
      ドライバーはただ笑って首を振り、そして手を振る
      その途端、彼の顔はうなだれる
      何をしているのかな、この日本人は
      何を考えているのかな、この日本人は
      灼熱の太陽に顔を焼かれ、真っ赤な顔で突っ立ていること7時間
      太陽が地平線の彼方に沈む頃
      彼はもと来た道を引き返して行った
      夕焼けに真っ赤に染まった空の下
      広大なサハラの中の一人の日本人