札幌市 石狩市 合気道道場

北海道春風館

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草枕日記 第十四話


 3月10日午後5時、3日間のラクダの旅を終えてキャンピンググランドに着いた。この旅で私はAgadezまでのキャラバンに参加できると自信を得たのだが、他の外人達は誰も行かないと言う。私一人では費用がかかりすぎるのと、危険でもあると言うので結局この話しは砂漠の砂のように飛んでいってしまった。夕方町の広場でトゥレガ族(イサラもこの族)の踊りを見る。カスタネットと太鼓を使った激しいリズムの踊りだ。モロッコのマラケシで見た踊りと同じだ。きっと彼らはこの辺の人々だったのだろう。

 ラクダの旅もだめになったので必死にAgadezへ行くトラックを捜す。延期したVISAも20日までなので、のんびりしていられない。
 3月12日 夕方町のbarで友達へ手紙を書いていると、フランス人カップルが「俺達は今晩へAgadez行くトラックを見つけた。多分お前も一緒に乗れるだろう」と言う話を持ちこむ。さっそくキャンピンググランドに戻り、荷物を整理し警察で出国を知らせ、税関へ行き残金(アルジェリアのお金)と外貨交換証明書を調べられる。Agadezまで897Km,70DN(もちろん金は取られる)、食事付きで2日半の道程という。
 夜の8時にすべての手続を済ませトラックの乗りこむ。とは言っても場所は高いトレーラーの荷台のシートの上、そこに現地人も含め12~3人が乗っている。さあいよいよ出発だ、しかしその日は朝から腹痛で調子の悪かった私はいやな予感がしながらも、ロープに捕まりながらジラバを頭からかぶり寝ていた。トラックは猛スピードで走る。

 それは突然やってきた、腹痛がひどくなり我慢にも限界が来た。トラックを止めようにも運転手まで声は届かないし、前の方に乗ってるのは現地の女性達で言葉も通じない。
 日本男子としてこんな所で洩らすわけにはいかない。私は重大な決心をしてトラックの一番後まで這って行き、頭に巻いていた黒のターバンでトラックのロープと私の腰を縛り(命綱だ)左手をオーストリア人に掴んでいてもらい、最後尾の横に巻いてあるロープに足をかけ、ズボンとパンツを下ろししゃがみこんだ。トラックの後に宙ぶらりんの格好で果たすこと2度、2度目は快感にさえ思えた。が拭くのがちょっとしんどかった。
 終了後、私は大声で叫んだ「Give me paper please!」(本当に真夜中で良かった)

 さすがに翌朝は私も恥ずかしく、遅くまで寝袋に頭まで入って狸寝入りをしていた。皆が「Are you all right Susumu?」と声をかけてくれ、やっと顔を出す。ここの道は全くないようなもので、前に通ったタイヤの跡をトラックは走る。この辺の砂漠は全く平面で地平線だけが四方に見える。だから休憩の時はトイレの場所を捜すのが一苦労、フランス人の女の子は足首まである長いマントを着て用をたしていた。後からは何をしているのか全くわからない。
 さてこの旅の外人メンバーは、ベルギー人カップル、フランス人カップル、オーストリア人兄弟、フランス人の男(ピエール)とフランス人の女、そしてこの私の合計9名だ。