札幌市 石狩市 合気道道場

北海道春風館

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草枕日記 第十六話

 3月17日 午後2時半やっと俺達を乗せたトラックは「Niamey」のマーケットに到着。


 思えば長い長い旅であった、12日の夜の8時に出発をしてから今日まで寝床はすべて車の上、途中下痢を起こし、風邪をひき、又鼻血を幾度か出し、熱射病にやられ、今は身体がガタガタ、早くどこかに横になりたい。「YARO」というユースホステルに宿をとりやっとベッドで寝る。しかし夜は蒸し暑くて結局又外で寝ることになる。この晩はアフリカに来て初めて「蚊」に悩まされる。いよいよ赤道が近くなってきた。

 次の日から3日間、旅の疲れからかひどい下痢に悩まされる。夜ねるのは外の便所のすぐ前だ。食欲もなく玉子ご飯(自分で炊く)や果物や牛乳(のどがやたら乾く)を飲んではトイレに駆け込む毎日であった。(この町には冷えたビールも売っているというのに飲めない)しかしこの間に次の国「Dohomey」のVISAを取り出国に備える。24日やっとDohomeyの「Port Novo」行きのバスを見つけ夕方5時マーケットまで行く。
 しかし2時間待ってもバスは出ない、結局運転手は「今日は客が集まらないから明日にする」の一言(アフリカではこんなことは日常茶飯事なのです)翌日再び4時間半も待たされたが、やっとバスは出発する。
 ところがこのバスが最初に通った税関は「Dohomey」ではなく「Haute Voltor」の税関でどうやらこのバスは初めに「Togo」の「Lome」まで行き、それから「Dohomey」へ行くらしい。走行距離1414Km、闇に紛れて「Togo」へ密入国(Visaがない)。

 27日午前11時、強行スケジュールのバスがやっと「Lome」に到着。この町の人々は皆人なつこく中々良い町で気に入る。そこから違うバスの乗り換えさ せられて夜の7時にやっと「Port Novo」に到着。ところがもう何もかも真っ黒で何も見えず、近くのレストランで夕食を食べる(久ぶりにビールを飲むーうまい)そのレストランでTogo 出身の青年と知り合いビールをごちそうになり酔っ払ってしまい、レストランの片隅で寝てしまう。


 3月28日 レストランは一晩中やっていたようである。その関係か朝7時に起こされる。荷物を預かってもらい海まで散歩する。この前に海を見たのは2月22日、「Aljer」でだから約1ヶ月ぶりだ。そのせいかすばらしくきれいに見えた。やっぱり海はいいな。
句「アフリカのドホミの磯の白砂に、我楽しげにカニとたわむる」(盗作)
(筆者は宮城県の石巻という漁港で育ち、幼少時の遊び場はほとんど海の砂浜であったので、海を見ると本当に落ち着いた気持ちになる)

 それにしても約1ヶ月かけてサハラ砂漠を縦断したことになる。たった1ヶ月だったのか。何ヶ月も過ぎたような気がする。まるで浦島太郎ではないか。それほど強烈な砂漠の旅であった。
 この夜レストランで笛(愛用の縦笛)を吹いていると、ナイジェリア出身という3人の男達が話しかけてきて、夕飯とビールをごちそうになり、その上その中の一 人の家に泊めてもらう。彼はケミカルエンジニアで仕事で2週間前にこの町にきたそうだ、私と同じ年だというのには驚いた。ナイジェリアではほとんどの人が 英語を話すそうで、日常会話に英語を使っているというのには驚いてしまった。彼らの英語はアメリカ人やイギリス人、オーストラリア人の英語とも違う、一番 近いのは日本人の英語だろう。おかげで意志も通じやすくシャワーも浴びさせてもらい、ベッドにも寝かさせてもらう。


 翌朝7時彼に別れを告げバスス テーションから「Lagos」行きの乗合タクシーを捕まえる。出発したのが10時半、途中何度も故障しながら結局「Nigeria」の「Lagos」に着 いたのは夜の6時半、今夜の安宿を探しまわり、満員だったYMCAに荷物だけ預かってもらい外に寝ることにする。

 しかしこの宿で一人の日本人と出会い、彼 の部屋のベッドがひとつ空いていたので、そこへ寝る。(外は雷雨が激しく降っている)その彼とひさしぶりに日本語で話す。彼(鈴木君)は 自転車を「Senega」まで船で運んでそこから2ヶ月かけてここまで来たそうだ。驚いたことに彼も又「ハリガネ士」(第4話参照)で、彼はドイツのハン ブルグ周辺で売っていたらしい。そして彼は私と同じ宮城県の小牛田の近くの南郷という町の出身だそうで(私が日本を立ってから会った二人目の同郷人だ)ド イツから送った自転車の部品が届かないので、これから自転車を売って旅を続けると言っていた。
 次の夜に同部屋のアメリカ人が「grass」と「Aid Decolcrized Idodine Tincture」という薬を水に1滴垂らして飲まされたが、かなり良いトリップは出来たが身体がしびれて来たのにはまいった。