札幌市 石狩市 合気道道場

北海道春風館

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草枕日記 第十二話

 3月3日 日本では「ひな祭り」の節句か。いつものごとくバスは1時間遅れて午前7時出発。途中休憩を取ったオアシスもすばらしい。カメラはバッグの中に収めたままバスの上に梱包されているので、写真は全く撮れなかった。しかし他の外人達は誰一人カメラを持っていないようだ。俺には分かるような気がする、ヨーロッパと違いこんな強烈な印象を与えてくれるアフリカでは写真など必要ない。カメラは壊れる恐れもあるし、いつ盗まれるかわからない。そんな心配をしながら旅するより、いっそカメラなしで十分旅を味わった方が思いでに残るだろう。放浪者にカメラは必要ない。(しかしこのカメラがアフリカを脱出する時に役に立つとは、この時点では全くわからない)

 今夜も星空の下で野宿、翌朝バスは巨大な岩石の散らばる岩砂漠の中をひたすら走る。途中故障で4時間ほど止まりはしたが、午後4時全員無事「Tamanrasset」に到着。
思っていたより進んだ町で、何より観光客の多いのに驚く。地元の人より観光客の方が多いような気がする。ここから隣国のNIGERの「Agadez」まで行くのは大変らしい、何せ全くバスも出ていないので自力でトラックの運チャンと交渉するしかない、それもフランス語で。とにかく今夜は町外れにあるキャンピング グランド(茅のような植物で作った簡単な家がいくつかある)で知り合ったアメリカ人(ケリー)の家に泊めてもらう。

 彼はドイツ製のバイク「BMW」250ccでもう2年間ほど旅を続けているらしい。ゆっくりと、それも力強く歌うように話す彼の英語がすっかり気に入ってしまった。(この男とは何と4年後の4月9日、インドのカルカッタの安宿で偶然に再会した)          

ケリーのBMW

キャンピングサイト


 とにかくこの町でアルジェリアのVISAの延期を申請し3月20日までのVISAをもらう。これで少しのんびり出来る。一緒に着いたカナダ人やフランス人はいつのまにかトラックを見つけこの町を出ていったようだ。
 3ヵ日目の夜に一人の現地人が「我々と一緒にラクダのキャラバンでAgadezまで行かないか?」という話を持ってきた。計画と費用は下記の通りだ。


・1日のラクダの費用:10DN(当時1DNは約65円)
・1日の食料費   : 5DN
・Agadezまで20日位かかる。全員ラクダに乗って行ける。
・途中で食料は調達できないので、事前に20日分の食料と水を買いこんでおかねばならない。


 スクスク料理を食べながらフランス語で行なわれた話はこんな所だ。一番乗り気なのは私とカナダ人カップルだが、全員未経験なので一度3日位ラクダを借りて小旅行をし、その上で決めようと言う事になる。
 翌日みんなで食料を買出し、さっそく準備にかかる。ラクダ1頭につき10DN,ガイドにⅠ日10DN,食料代を含め総費用は3日間で210DN、だから一人30DN(日本円で2000円弱)となる。