札幌市 石狩市 合気道道場

北海道春風館

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草枕日記 第十三話

 3月8日午前9時、5頭のヒトコブラクダと我々7人、そしてガイドの「イサラ」(黒いターバンを頭に巻き、青い民族衣装に身を包み精悍な顔つきでカッコ 良い)でキャンプ場を出発。初めて乗るラクダの乗り心地は悪くない、ただ最初に乗る時はラクダは前足と後足を折って低くなり、ラクダに取付けた鞍のような ものに乗るのだが、立ちあがる時後足だけ先に立つので、急に前のめりになり用心をしていないと落馬?する。
 ラクダの歩む速度はかなり遅く人間と同 じ位だ。イサラの話だとAgadezへ行くときはもっと速く歩くそうだ。そうでないとⅠ日30Km進めないと言う。2時間ほどあるいてから昼食のために休 憩、焚き木を集めて火を起こし、昨日買いこんだ食料の中からマカロニを取り出しゆでる。ソースはドライトマトと「シットケーキ」という変なダシの素のよう なものと、にんにく、塩、そしてオイルだけでスープを作る。これが結構うまい。食後は必ず「砂糖入りグリーンティ」だ。夜は山の谷間に立つ小さな家の中で一泊、夕食は例のスープとライスだけ。これから毎食このスープのようだ。


  日の出とともに起床、さっそく朝食の準備、今朝はクスクス料理だ。食後2~3人でラクダを捕まえに行く。(昼食時や夜はラクダを離してしまう。彼らは餌を 求めて時にはかなり遠くまで行ってしまうこともある)それから出発だ。岩山の谷間を5頭のラクダはゆっくり進む。アラビアのローレンスになったような気分だ。

 昼食はイサラが砂でパンを焼くと言うので皆興奮気味だ。何故かと言うと、そこには「かまど」も「オーブン」もないからだ。初め彼はきれいな砂 を運んできた、それをすり鉢状にし、その上で火を起こし十分砂を暖める。その間鍋に小麦粉と水を入れ十分こねてほどよい固さにする。砂が暖まった所で炭を どけてすり鉢型の砂の表面を平にし、その上に小麦粉を流しこむ。そしてその上に枯れ木をかぶせ火を付け、小麦粉の表面を軽く焼いて固めてから砂でおおいか ぶせ、その上に焼けた炭を乗せ30分位ほっておく。30分後静かに堀だし今度はそれを裏返しにして、又砂をかぶせ今度は10分ほど待つ。
さあいよいよ出来あがりだ、パンを砂の中から取り出し、水で表面の砂を洗い流して出来あがり。これをちぎって鍋の中に入れ例のスープをかけて食べる。これが最高にうまいんだなあ。(数年後,鳥取の海で試したことがある、出来はもう一つだったが食えた)


 そしてこのラクダの旅の途中で道端の大きな石に書かれた“日本語”を発見する、こんな場所は車も通らないので、きっと彼も同じようにラクダで旅をしたのだろう。私も隣の石に自分の名前と月日を刻む。(残念ながら何と言う名前だったか覚えていない)