札幌市 石狩市 合気道道場

北海道春風館

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草枕日記 第十一話

 3月1日午後5時、1104Km離れた隣町まで(バス代は60DN)、我々12名の外人部隊と地元の人間33名、合計45名を乗せた「真っ赤なおんぼろバス」は予定より3時間遅れで出発した。


「サハラのバスはおんぼろ車、デコボコ道をガタガタ走る。それでもお客さん我慢をしているよ、それはサハラがすばらしいから!」


 とにかくバスはおんぼろで、ものすごい砂ぼこりが中まで入ってくる。皆ジラバ等で頭をすっぽり覆っている。しかし、あの冷たい厳格な岩肌や、見渡す限り四方すべて地平線に囲まれた広大な荒野を見ていると、すべて許せる気がする。
 それらの景色を見ながら、私の「内面の旅」が始まった。遠い昔の事、高校時代の事、日本を脱出する直前の事、スイスで働いていた頃の事、そして明日、将来の自分自身の事など頭の中を走馬灯のように記憶が回り始めた。今夜はその四方すべて地平線のど真ん中で野宿だ。風が強くてものすごく寒い、しかしまるでプラネタリウムのように地平線まで降りている満天の星達を見ていると、寒いのも忘れてしまう。しかし寒い!

 朝6時起床、地平線から太陽が少しづつ昇ってくる。「ファンタスティック!」誰かが大声を上げた。朝食をすませバスは7時出発、時々放牧されているラクダが目に飛び込んでくる。12時「In Salah」という本当に小さなオアシスの村に到着。何とバスはここで修理をし明朝6時出発だそうだ。しかしこの町はすごくいい、静かで赤茶色の壁の建物、何とも言えぬ寂しさをただよわせている。村外れのオアシスもすばらしい。今夜も野宿だ。


             《風来坊》
     ここはお国を何万里離れて遠きアフリカの
     サハラ砂漠の小さなオアシス、「インサラー」
     汚れた服着た一人の男、日陰求めて歩いてく
     どこから来、どこへ行くのかこの男
     いつ国へ帰るのか、彼自身さえわからない
     アフリカに魅せられ、旅に魅せられたこの男
     彼は根っからの風来坊
     灼熱の太陽に顔を焼かれ、ヒゲも伸び放題のその顔は
     今じゃ国籍不明の変な顔
     何を考え、何を求めているのかこの男
     彼の寝床は星の下