札幌市 石狩市 合気道道場

北海道春風館

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草枕日記 第九話

 2月22日、「Alger」脱出成功。郊外までバスで行き、そこからヒッチの開始。途中アルジェリアの大学生三人と一緒にヒッチもして、彼等の住む町「Bilkkaden」に到着。
 その晩はその中の「シーケル」という学校の先生の家に泊めてもらう。彼等はミュージシャンで「シーケル」がドラム、「オマール」がギターとキーボード、そして「シャーキル」がヴォーカル。そして私が持参している愛用の縦笛で、夜遅くまで演奏会を開く。


 翌朝彼等と別れて再びヒッチを開始する。近くでやっていたアルジェの連中は皆乗せてもらって、いなくなり私一人が残る。結局この日は捕まらず再び「シーケル」の家に泊めてもらうことになる。この町は「アトラス山脈」の中腹にあるので寒くてかなわない。明日はバスを使ってでも、山を降りて暖かい町ヘ行こう。

 その晩彼らは私に「ところで君は柔道が出来るか?」と聞いてくる。柔道は中学と高校で授業で習っただけだが、日本人として「出来ない」とは言えずに「もちろん出来るよ!」と言ってしまう。「それじゃ俺たちと試合をしよう!」「でも柔道場がないだろう」「いやこの町には柔道場があるよ」えー!今更出来ないとは言えずに「分かった」と返事をしてしまう。まったく情けないが、次の日早朝に彼らに別れも言わずに私は家を出た。(この事件も帰国後私が合気道を始めた原因のひとつだ)


 2月24日、1時間ほどヒッチをしたがやっぱり捕まらず、結局バスで250Km離れた隣町「Laghouat」へ5時間ほどかかって到着。オアシスの中の小さな町でかなり良い感じなのだが、軍の施設でもあるのか軍人が多い町だ。今夜は初めて「ドウシャ」(お風呂やさん)に泊ることにする。一泊2.5ディナール(DN, 1DN=約70円 当時)と安いし、風呂やなのでスティームが通っていて暖かい。しかし南京虫がいそうだし、得体の知れない連中がたくさん泊っているので、荷物と身の安全は保証できない。

 翌日再び南を目指してヒッチ開始、しかし今日も車は捕まらずバスに乗る。3時間かけて192Km離れた隣町の「Ghardaia」に到着。オアシスのきれいな町だが、観光客も多くホテルの値段もばか高いし、ほとんど満室。「ドウシャ」の上の部屋も10DNと高い。その上一人でも二人でも同じ値段だと言う。荷物を置いて一緒に泊るやつを探しに出かけたが、見つからず結局一人で泊る。久しぶりに頭を洗い、久しぶりで柔らかいベッドに寝る。